1985年から2004年までの20年間の投資信託のコストの
推移の調査結果が大和総研のレポートに掲載されているので、
今回はこのデータから投資信託のコストの推移についてみていきたいと思います。
(※参考:「大和総研ファンド分類を用いた投資信託のコスト推移」)
「投資信託のコストは以前より安くなっている?」
みなさんはどう思われますか?
それでは「国内株式型」、「国際株式型」、「国際債券型」と、
それぞれカテゴリー別にコストの推移を実際にみていきたいと思います。
(※「国内債券型」は近年有効な投資先ではなくなっているため、ここでは省略します。)
まずは「国内株式型」からみていきましょう。
国内株式型のコスト比較表
| アクティブ型 (1985年) | アクティブ型 (2004年) | パッシブ型 (1985年) | パッシブ型 (2004年) | |
| トータルコスト | 3.56% | 4.23%(+0.76%) | 2.54% | 2.30%(-0.24%) |
| 販売手数料 | 2.08% | 2.50%(+0.42%) | 2.00% | 1.67%(-0.33%) |
| 信託報酬 | 1.48% | 1.51%(+0.03%) | 0.54% | 0.53%(-0.01%) |
| 信託財産留保額 | なし | 0.22%(+0.22%) | なし | 0.10%(+0.10%) |
この表は1985年と2004年の「国内株式型」を「コスト」を比較したものです。
パッシブ型とはTOPIXや日経平均など市場の指数に連動した
インデックス型の投資信託の事を言います。
まず、アクティブ型については全てのコストで割高の方向に推移している事が分かると思います。
対して、パッシブ型は信託財産留保額(解約時手数料)以外のコストは
全て割安の方向へ推移しているのが分かると思います。
アクティブ型のコストが割高へ推移を続けている要因ですが、
色々な要因があるとは思いますが、
一つの契機として、1994年の投信改革、2000年の改正投信法による規制緩和の影響を受けている事があげられるかと思います。
いずれの規制緩和とも、運用会社の投資手法や、
投資対象の幅を広げるものであり、幅がひろがった事で、
運用会社はそれまでよりも、柔軟な投資戦略を採る事が出来るようになり、
結果として「コスト高」が進んだと言えると思います。
続いて、「国際株式型」をみていきましょう。
国際株式型のコスト比較表
(※1986年の数字は正確な数字が記載されていないため、
グラフからおおよその数字を読みとり記載しています。)
| アクティブ型 (1986年) | アクティブ型 (2004年) | パッシブ型 (1986年) | パッシブ型 (2004年) | |
| トータルコスト | 3.50% | 4.86%(+1.36%) | 2.50% | 3.74%(+1.24%) |
| 販売手数料 | 2.00% | 3.05%(+1.05%) | 2.00% | 2.00%(+-0%) |
| 信託報酬 | 1.50% | 1.61%(+0.11%) | 0.50% | 0.87%(-0.37%) |
| 信託財産留保額 | なし | 0.20%(+0.20%) | なし | 0.87%(+0.87%) |
見事に赤がつきました。
まず、アクティブ型の投資信託が割高方向へ推移を続ける要因として、
1993年以降、日本を除くアジア諸国などのエマージング(新興)市場をはじめとする
特定のテーマを投資対象とした投資信託が相次ぎ、コスト高へ推移する一方のようです。
また、パッシブ型についてもコスト高へすすんでいる事が分かります。
要因としては、「国際株式パッシブ型」の大きな特徴である、
「信託財産留保金」(解約時手数料)が他のカテゴリーに比べ割高だという事が影響しているでしょう。
「国際株式パッシブ型」の投資信託を選定する際には、
他のカテゴリー以上に気に留めて、注意しなければいけない点でしょう。
「コスト」は、投資信託選びの鉄則 - その1 - で述べたとおり、投資信託の選定で
最も重要な選定基準の一つです。
続いて、「国際債券型」をみていきましょう。
国際債券型のコスト比較表
(※アクティブ型、パッシブ型ともに過去の数字に正確な数字が記載されていないため、
グラフからおおよその数字を読みとり記載しています。)
| アクティブ型 (1989年) | アクティブ型 (2004年) | パッシブ型 (1998年) | パッシブ型 (2003年) | |
| トータルコスト | 2.90% | 3.74%(+0.84%) | 0.90% | 2.33%(+1.43%) |
| 販売手数料 | 2.00% | 2.28%(+0.28%) | なし | 1.20%(+1.2%) |
| 信託報酬 | 0.90% | 1.32%(+0.42%) | 0.70% | 0.97%(+0.27%) |
| 信託財産留保額 | なし | 0.15%(+0.15%) | 0.20% | 0.16%(-0.04%) |
またもや、見事な赤がつきました。
やはり、国際型は国内型と比較すると、コスト高となる傾向があるようです。
「国際債券型」も「国際株式型」と同様に日本を除くアジア諸国などのエマージング(新興)市場や、
リスクの高いハイイールド債券(債務不履行の可能性が高い分、利回りの良い債券)の増加が
全体平均のコスト高へ影響を与えているようです。
さて、主題の「投資信託のコストは以前より安くなっている?」ですが、
「国内株式型」、「国際株式型」、「国際債券型」とそれぞれのカテゴリーを
過去から現在にかけての「コスト」をみてきましたが、
残念ながら、どのカテゴリーでもおおよそ「コスト高」の方向へ推移しているようです。
以前、アメリカの投資信託に学ぶで述べたように、消費者(個人投資家)の需要が低コスト化へ向かわなければ、
投資信託の低コスト化は難しいでしょう。
また、上記記事、大変参考になりました。重ねて感謝申し上げます。
投資信託のコスト、特に国債株式型と国債債券型が値上がりしているのがイタイです。たくさんの人が買うからコスト競争が始まる、というサイクルに入らないと安くなりませんね〜。
しかし、大和総研もこんな分析をする以上は、責任持って、本家の大和証券で安いファンドを売って欲しいものです。投資信託の世界でもソフトバンク孫さんのような価格破壊者が出てこないと難しいのでしょうか。
コメントありがとうございます。
少しでも参考にいただけたなら、
嬉しいです。
国内株式、債券型の投資信託は
代替手段が全くない訳でもないのでまだ良いのですが、
やはり国際株式、債券型の投資信託のコスト高は、国内型と比べ、
代替手段が少ないので、
個人投資家にとってはマイナス要素ですね。
個人投資家の意識がコストの重要性に向かえば良いのでしょうが、
非効率な「分配重視型」、高コストな「バランス型」を支持している現在の状況ではまだまだ難しいところがあるかと思います。
やはり、強力なイノベーターの存在が待ち望まれますね。
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